医療用縫合針・縫合糸メーカーの株式会社 河野製作所 所在地:千葉県市川市曽谷 商品販売会社:クラウンジュンコウノ

極×細 無医村をなくせ ~世界最小、0.03mmへの挑戦~

無医村をなくせ~世界最小、0.03mmへの挑戦~

先駆者だけが味わえる苦労を糧に

私たち河野製作所を代表する製品のひとつが、世界最小、直径30㎛
(=0.03mm)の手術用針です。2004年に開発したこの製品は、3~20倍の顕微鏡を用いて行われる血管や神経を縫合するマイクロサージャリー(※微小外科)に従事されている医師の皆さまから、高い評価を受けています。

開発当時の常識では、100㎛(=0.1mm)以下の針は製造できないと思われていました。 100㎛以下の針が必要な領域は、手術ができない “無医村” と認識されていたのです。こうした状況の中、現場で働く医師からの強い要望を受けて「医工連携」の下での開発がスタートします。当時の常識を遥かに超える製品の開発には、相当の困難が予想されましが、それでも挑戦することを決断した理由は、マイクロサージャリーにおける“無医村”を克服する手術針を、私たちの手で創りたいと思ったからです。小児や珍しい病気をはじめとする少数の患者さんを切り捨てることなく、救う製品を創りたかった。

世界最小となる30㎛(=0.03mm)の針を開発・製造するには、極めて精密な加工を実現する製造装置が必要となります。ところが、当時の私たちは、これほど精密な生産設備を持っていなかった。前人未踏の分野ですから、当然、すぐに外注をお願いできる製造装置メーカーもありません。そこで私たちは、工具や製造装置、検査機器に至るまで、文字通りすべてをゼロから自社開発することになります。

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“感覚”と“数値”とを組み合わせた、ハイブリットなモノづくり

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素材選びも難航します。マイクロサージャリーの手術針は、血管の組織を貫通させる道具なわけですから、言うなれば究極の刃物です。単に細いだけでなく、切れ味や縫合で用いる際に曲がらない剛性も求められます。かといって、剛性を求めれば加工が難しくなるため、バランスをとることに苦労しました。
マイクロサージャリー用の針糸では、針と糸が一体化しています。従来はレーザーで針の尾部を軸方向にくぼませて、そこに糸を差し込む手法で糸と接続していました。ところが、30㎛の針は細いため、レーザーの照射熱で素材の金属自体が溶けてしまい上手く行きませんでした。そこで、針の尾部を竹を割る要領で浅く裂き、そこに糸を挟んで締め直す方法で固定しています。

30㎛の針を開発する少し前の話をさせてください。 50㎛の針を製造していた頃の話です。当時は、針に糸を固定する穴を空ける微細加工技術を、ひとりの優秀な職人が担っていたんです。ところが、彼が病に倒れてしまって。そのとき痛感したのが、ものづくりには “感覚” も大切ですが、やはり“数値化”も大切だということです。高度な加工を“感覚”だけでこなすより、可能な限り“数値化”し、生産方法を確立していく方が良い。そうすることで、一部の職人が持つ匠の技に頼りすぎるリスクも回避できるからです。現在では、あの時の経験を活かして“感覚”と“数値”とを組み合わせた、ハイブリットなモノづくりを考究しています。適切な技能と、生産設備さえ揃えれば、誰でも規格に収まる製品を製造することができる状況が理想です。

技に学び、技術を伝える

30㎛の針を開発していた時期は、世代交代が進んでいた時期とも重なります。開発当時の60~70代の世代のエンジニアは、いわゆる職人さんだった。若い世代に対しては「見て覚えなさい」のスタイルが主流で、上手く技術を引き継ぐことができていなかった。これでは、職人さんが引退した時点で、その優れた技術が途絶えてしまうと、危機感をいだいていました。

こうした課題を改善するために 30代~50代の世代のエンジニアたちが中心になって、職人の優れた技術を分析し、機械化を進める取り組みをスタートしています。この取り組みが功を奏し、かつては、30~40年間も技術を磨いた職人が10%ほどの成功率で生産していた微細針を、今では一般のスタッフでも約98%の成功率で生産できるまでに生産効率が高まっています。

つい先日も、品質と生産効率のさらなる向上を目指し、自社開発を進めてきたロボットアーム型の製造装置が完成したばかりです。道具を扱う医師や、道具が直接触れることになる患者さんの身体は、一人ひとり異なります。こうしたニーズは、今後さらに多様化していくことが予想されるため、オーダーメイドで製品を生産していく技術を高めることは必須です。私たちは《多品種少量生産》を支え続けてきた、職人の技を良い意味で自動化し、次世代に確実に伝えていきたいと考えています。

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