株式会社 河野製作所

CROWNJUN
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双葉社 2014年(平成26年)2月10日(月曜日)

  ホントにすごい!日本の科学技術図鑑

  未来を変える驚異の先端科学技術を紹介

   [日本の最先端医療]超微細外科

手の外科』という分野の医師たちがいる、名前の通りに、手の外科手術を専門とする医師たちだ。腱症炎などの手術はもちろん、指から切断された手の縫合まで行う。バラバラになった手や指でも、きちんと血管や神経をつなげば、半年ほどで動くようになるから驚きだ。まるでマンガのブラックジャックのような世界だ。手の外科で行われているような、0.1mm単位の非常に細い血管や神経をつなぐ手術のことをスーパーマイクロサージャリー=超微細外科と呼ぶ。現在の医療は、太さ0.1mmの血管をつなぐこともできるという。髪の毛の太さが0.06〜0.1mmなので、切った髪の毛を糸で縫ってつなぐことを想像すれば、その凄さがわかると思う。ほとんど不可能に見える精緻な作業を実現するのは日本で生まれた超高倍率の顕微鏡と極細の針だ。

人工衛星向けの技術を顕微鏡に

 手術の現場を想像して欲しい。0.1mmの血管を縫う時、どこに血管を置いて、どう顕微鏡で見ればいいのか?

 普通の顕微鏡はステージに対象物を置いて、対物レンズを近づけて見る。しかし当然傷口はステージに載せられない。自ずと顕微鏡は大型の虫メガネのような形になる。その虫メガネ越しに血管を見ながら、虫メガネの下で縫合する。虫メガネの倍率は高くても5〜6倍である。事実、外科手術用顕微鏡の倍率も12倍程度レベルだった。

 三鷹光器の開発した高解像度立体視顕微鏡は77倍まで拡大して観察でき、しかも立体的に見ることができる。この顕微鏡で見れば、誰でも米粒に絵を描くことができる。高倍率でみる顕微鏡では車が通っても振動を感じてしまうが、長年人工衛星用の光学機器を製造してきた三鷹光器は、ロケット発射時の凄まじい振動にも影響されず、限られたスペースに光学系を折り畳んで収納する技術を応用し、77倍の倍率と明るい視野、高分解能を兼ね備えた超高精度の顕微鏡を世界で初めて完成させた。三鷹光器の手術顕微鏡は外科医たちに「マイクロサージャリーの歴史を変えるかもしれない」と言われ、海外でも高く評価されている。

 顕微鏡で50倍に拡大し、縫合箇所が見えるようになっても、0.1mmの血管を縫う超極細の手術針はあるのか?

 もちろんあるのだ。河野製作所が作る世界最小の手術針がその手術を可能にした。針の直径はわずか0.03mm、そこに通す糸は0.012mm、極微の世界だ。日本の中小企業が可能にしたスーパーマイクロサージャリーは、組織が壊死する率を減らし、移植手術の成功率を上げた。手術後のしびれなどの後遺症を減らしたり、傷跡がほとんど残らない整形手術を可能にしたりと医療の可能性を押し広げている。

 

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