「世界に誇る!日本のものづくり図鑑2」 掲載 - 河野製作所 クラウンジュン・コウノ CROWNJUN

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お知らせ

金の星社 2015年(平成27年)3月16日(木曜日)

世界に誇る!日本のものづくり図鑑2
肉眼では見えない世界トップクラスの細さ
医療用手術針 株式会社河野製作所

未知の細さに挑戦

河野製作所は、1949(昭和24)年に、計測器の針などの部品を製造する会社として創業しました。1969年なかばからは、医療用具の分野へ進出します。それ以来、糸つき手術針の開発と製造を手がけています。国内や海外の医療現場では、「クラウンジュン」という製品ブランドのさまざまな種類の手術針が使われています。
 顕微鏡を使っておこなう外科手術のことを「マイクロサージャリー(微小外科)」といいます。2000(平成12)年当時、マイクロサージャリーで使われる手術の針の太さは0.1㎜が標準でした。その0.1㎜の針は0.5㎜より大きい組織を縫い合わせる手術に使えるものでした。しかし、医師たちは、さらに小さい0.5㎜未満の組織を縫いあわせられる手術針をもとめていました。その開発をもちかけられたのが、河野製作所の社長、河野淳一だったのです。
 顕微鏡で拡大しておこなうとはいえ、当時はまだ、0.5㎜未満の手術は不可能だとされていました。ですから、これに対応できる手術針の開発は未知の分野でした。

困難をきわめた開発

 河野は、医師たちの要望にこたえようとして、直径0.03㎜という極細の手術針の開発をスタートさせます。しかし、その開発は困難をきわめました。素材は特殊なステンレスです。それをのばして切り、先をとがらせてまげ、先をするどくみがきあげるという工程で製造します。しかし、ここまで細いステンレス素材だと、金属でありながらも綿の繊維のようにフワフワしています。そのような状態の素材を装置に固定して、のばしたり、まげたり、みがきあげたりするのは、非常にむずかしいことでした。神経を使うこまかい作業のため、機械化ができず、手作業で1本ずつつくる必要があります。
 また、細い針にどうやって糸をつけるかという問題もありました。手術につかうものですから、じょうぶで使いやすく、安全でなくてはいけません。糸が針からはずれないようにするくふうが必要でした。それまでは、針にドリルやレーザーで穴をあけて、糸をさしこんでおさえるという方法で糸をつけていました。しかし、0.03㎜の針に穴をあけるドリルの刃はありませんでした。また、レーザーであけようとすれば金属がとけてしまい、穴があけられませんでした。そこで、0.03㎜の針の根もとを2つにわり、そこに糸をはさみこむという方法をためしてみました。これは、針に穴をあける方法より前に使われていた接合法なのですが、あえて昔の方法を採用することで、0.03㎜の針に糸をつけることに成功したのです。

世界でもっとも細い手術針が誕生

 そして、3年の開発期間をへて、2004年に世界でもっとも細い手術針が完成しました。
 針は、直径0.03㎜、長さ0.8㎜、ついている糸の直径にいたっては0.012㎜という、肉眼では見えないサイズです。この針が実用化されたことで、0.5㎜未満の血管やリンパ管、神経などを縫いあわせる手術が可能になりました。高い技能をもつ医師ならば、0.1㎜の血管でさえ縫うことができます。
 0.1㎜の非常に細い血管や神経をつなぐ手術のことを、「スーパーマイクロサージャリー(超微細外科)」といいます。極細の手術針を使うことで、それまで不可能とされていた手術ができるようになりました。
 2009年にはその功績が評価され、河野をはじめとする河野製作所の開発者は、経済産業省などが主催する「第3回ものづくり日本大賞」の内閣総理大臣賞を受賞しました。

記事(PDF)

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金の星社 2015年(平成27年)3月16日(木曜日)

世界に誇る!日本のものづくり図鑑2
肉眼では見えない世界トップクラスの細さ
医療用手術針 株式会社河野製作所

未知の細さに挑戦

河野製作所は、1949(昭和24)年に、計測器の針などの部品を製造する会社として創業しました。1969年なかばからは、医療用具の分野へ進出します。それ以来、糸つき手術針の開発と製造を手がけています。国内や海外の医療現場では、「クラウンジュン」という製品ブランドのさまざまな種類の手術針が使われています。
 顕微鏡を使っておこなう外科手術のことを「マイクロサージャリー(微小外科)」といいます。2000(平成12)年当時、マイクロサージャリーで使われる手術の針の太さは0.1㎜が標準でした。その0.1㎜の針は0.5㎜より大きい組織を縫い合わせる手術に使えるものでした。しかし、医師たちは、さらに小さい0.5㎜未満の組織を縫いあわせられる手術針をもとめていました。その開発をもちかけられたのが、河野製作所の社長、河野淳一だったのです。
 顕微鏡で拡大しておこなうとはいえ、当時はまだ、0.5㎜未満の手術は不可能だとされていました。ですから、これに対応できる手術針の開発は未知の分野でした。

困難をきわめた開発

 河野は、医師たちの要望にこたえようとして、直径0.03㎜という極細の手術針の開発をスタートさせます。しかし、その開発は困難をきわめました。素材は特殊なステンレスです。それをのばして切り、先をとがらせてまげ、先をするどくみがきあげるという工程で製造します。しかし、ここまで細いステンレス素材だと、金属でありながらも綿の繊維のようにフワフワしています。そのような状態の素材を装置に固定して、のばしたり、まげたり、みがきあげたりするのは、非常にむずかしいことでした。神経を使うこまかい作業のため、機械化ができず、手作業で1本ずつつくる必要があります。
 また、細い針にどうやって糸をつけるかという問題もありました。手術につかうものですから、じょうぶで使いやすく、安全でなくてはいけません。糸が針からはずれないようにするくふうが必要でした。それまでは、針にドリルやレーザーで穴をあけて、糸をさしこんでおさえるという方法で糸をつけていました。しかし、0.03㎜の針に穴をあけるドリルの刃はありませんでした。また、レーザーであけようとすれば金属がとけてしまい、穴があけられませんでした。そこで、0.03㎜の針の根もとを2つにわり、そこに糸をはさみこむという方法をためしてみました。これは、針に穴をあける方法より前に使われていた接合法なのですが、あえて昔の方法を採用することで、0.03㎜の針に糸をつけることに成功したのです。

世界でもっとも細い手術針が誕生

 そして、3年の開発期間をへて、2004年に世界でもっとも細い手術針が完成しました。
 針は、直径0.03㎜、長さ0.8㎜、ついている糸の直径にいたっては0.012㎜という、肉眼では見えないサイズです。この針が実用化されたことで、0.5㎜未満の血管やリンパ管、神経などを縫いあわせる手術が可能になりました。高い技能をもつ医師ならば、0.1㎜の血管でさえ縫うことができます。
 0.1㎜の非常に細い血管や神経をつなぐ手術のことを、「スーパーマイクロサージャリー(超微細外科)」といいます。極細の手術針を使うことで、それまで不可能とされていた手術ができるようになりました。
 2009年にはその功績が評価され、河野をはじめとする河野製作所の開発者は、経済産業省などが主催する「第3回ものづくり日本大賞」の内閣総理大臣賞を受賞しました。

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